整骨院のドタキャン対策
できること・できないこと
この記事では、予約システムでできること(前日リマインド/事前のカード登録)と、 キャンセル料を取るときに法律で決まっている線引きを整理します。 先に書いておくと、ドタキャンをゼロにする方法はありません。減らす手段を積む話になります。
まず結論
- 前日リマインドは、調べた範囲でどの予約システムも有料プラン側にありました
- 予約時のカード登録は効きますが、予約のハードルが上がります
- キャンセル料は「平均的な損害の額」を超える部分が無効になりえます(消費者契約法 第9条)
- システムを入れなくても効く手が3つあります(後半にまとめました)
① 前日リマインドは、どの予約システムでも有料側にある
無断キャンセルのうち、悪意のあるものは多くありません。単純に忘れられているケースがかなりを占めます。 だから前日のリマインドが効くのですが、各社の公式料金ページを見ると、ここが揃って有料プランに置かれています。
| サービス | リマインド関連 | 使えるようになる金額 |
|---|---|---|
| STORES 予約 | 「メルマガ・予約リマインドメール自動配信」 | スモール 月9,790円(税込・年間契約) |
| Airリザーブ | 「予約リマインドメール配信」 | ベーシック 月5,500円(税込) |
| Square 予約 | 「メールとSMSによる自動予約確認」 「無連絡キャンセルの防止対策」 | プラス 月3,000円(税表記の記載なし) |
| RESERVA | 「予約リマインド通知」 (ゴールドは前日8:00固定、時刻を選ぶならエンタープライズ以上) | ゴールド 月13,200円(税込・年払い) |
STORES 予約・Airリザーブ・Square 予約の金額は2026年8月21日時点、 RESERVAの行は2026年8月23日に公式の機能紹介ページで確認して追記したものです。 RESERVAの詳細はRESERVAは整骨院に使える?にまとめています。
予約が入った瞬間に届く確認メールは、無料プランでも用意されていることがあります。 無料で欠けるのは「来院の前日にもう一度知らせる」ほうです。 忘れられるのは予約した直後ではなく、来院日が近づいたころなので、効くのは後者です。 各社の無料プランの中身は0円プラン4社を調べた記事に整理しました。
金額をどう見るか
月5,500円のプランを入れるかどうかは、「月に何件のドタキャンを防げば元が取れるか」で考えると判断がつきます。 自費の枠が月に1件でも余分に埋まれば、金額としては近いところまで来ます。 ただし「リマインドを入れたら何件減るか」は、院によって違います。 この記事で数字を断定することはできません。1〜2ヶ月試して、件数を数えるのが確実です。
② 予約時のカード登録は効くが、予約のハードルが上がる
もう一段強い手が、予約するときにカード情報を登録してもらい、無断キャンセル時に請求できる状態にしておく方法です。 Square 予約の「無連絡キャンセルの防止対策」がこれにあたります。公式ヘルプの記載では、次のような仕組みでした。
- お客さまは予約を完了するのに支払い用カード情報の入力が必要になる
- 請求額の決め方は3つ。予約ごとの一律料金/サービスごとの一律料金/各サービス料金の割合
- 請求できるのは当初の来店予定日の14日後まで
- 保存されるカード情報はその1回の予約に対してのみで、次回以降には使われない
- 予約が「保留中」のあいだは、お客さまはいつでも無料でキャンセルできる
整骨院は「腰が痛いから、とりあえず1回行ってみる」で予約が入る業種です。 その画面でカード番号を求めると、そこで離脱する方が出ます。 防いだドタキャンより、来なくなった新規のほうが多い、という結果になりうるということです。
初回はカード登録なし、2回目以降の無断キャンセル歴がある方だけ対象にする—— といった運用ができるかどうかも、導入前に確認しておくと安全です。
③ キャンセル料は、いくらでも取れるわけではありません
キャンセル料を決めるときに知っておきたいのが消費者契約法 第9条です。 条文では、解約に伴う損害賠償や違約金を定めた条項のうち、 同種の契約の解除にともなって事業者に生じる「平均的な損害の額」を超える部分は無効とされています。
さらに同条第2項では、キャンセル料を請求する場面で消費者から説明を求められたときは、 その算定根拠の概要を説明するよう努めなければならないとされています(努力義務)。
「無断キャンセルは一律10,000円」のような、施術料金とかけ離れた設定は避ける。
金額の根拠を、自分の言葉で説明できるようにしておく(その枠で得られたはずの施術料金、など)。
キャンセルポリシーを、予約する前に見える場所に置く。予約後に知らせても、合意したことになりません。
ここは法律の解釈が関わる領域です。この記事は条文の内容を紹介したもので、法的なアドバイスではありません。 実際にキャンセル料を設定・請求する際は、弁護士等の専門家にご確認ください。
整骨院でよく見る設定のしかた
実務上は、当日キャンセル◯%・無断キャンセル◯%という段階をつけた形がよく使われます。 重要なのは割合そのものより、その割合を「なぜその数字なのか」説明できることと、 予約の前に伝わっていることの2点です。
④ システムを入れなくても効く、3つの手
その場で次回の予約を取る
施術が終わった直後は、次に来る必要性がいちばん伝わっている瞬間です。 ここで日時を決めてしまうと、あとから「予約を取る」という行動が要りません。 予約システムの導入より先に効きます。
前日に一斉に連絡する
自動リマインドが有料プラン側にあるなら、手で送っても同じ効果は出ます。 LINE公式アカウントなら、1対1のトークはメッセージ通数にカウントされないため、 予約のやりとりだけなら無料プランで足ります(詳しくは整骨院のLINE予約の記事に)。 手間は増えますが、費用はかかりません。
キャンセルの導線を、あえて用意する
見落とされがちですが、「行けなくなった」と伝える手段が電話しかないと、無断キャンセルが増えます。 仕事中に電話しづらい、言い出しにくい、という理由でそのまま来ないという形です。
予約確認メールにキャンセル用のリンクが付いていれば、黙って来ないかわりに、事前に枠が空きます。そもそも予約の入口が電話しかない院では、この導線を作りようがありません。 空いた枠は別の方に出せます。ドタキャンを「無断」から「連絡あり」に変えるだけでも、実害は小さくなります。
⑤ 記録を残さないと、対策が打てません
無断キャンセルが「なんとなく多い気がする」の状態だと、 リマインドを入れても効いたのかどうか分かりません。最低限、次の2つは残しておきます。
- 月ごとの無断キャンセル件数。手帳に「正」の字を書くだけでも足ります
- 誰が、何回目か。同じ方が繰り返しているのか、単発が散っているのかで打つ手が変わります
前者なら「その方への連絡の取り方」、後者なら「全員へのリマインド」と、対策の向きが逆になります。 顧客ごとの来院履歴が残る予約システムなら、ここは自動で溜まります。
院の状況別に、どこから手をつけるか
| 状況 | 先にやること |
|---|---|
| 件数を数えていない | まず数える。1ヶ月でいい |
| 連絡なしで来ない方が多い | キャンセルの導線を用意する(メールのリンク・LINE) |
| 忘れられている感触がある | 前日リマインド。手動でも可 |
| 同じ方が繰り返している | その方への次回予約の取り方を変える |
| 新規のドタキャンが多い | 予約時のカード登録を検討。ただし離脱とのトレードオフ |
| キャンセル料を取りたい | 金額の根拠を用意し、予約前に見える場所に掲示 |
まとめ
- ドタキャンをゼロにする方法はありません。減らす手を積む話です
- 前日リマインドはAirリザーブなら月5,500円(税込)、STORES 予約なら月9,790円(税込)、RESERVAならゴールド月13,200円(税込・年払い)、Square 予約なら月3,000円から
- 予約時のカード登録は効くが、予約のハードルが上がる。新規の離脱とのトレードオフ
- キャンセル料は「平均的な損害の額」を超える部分が無効になりえます(消費者契約法 第9条第1項第1号)
- 請求時に求められたら算定根拠の概要を説明する努力義務があります(同条第2項)
- お金をかけずに効くのはその場で次回予約・前日の手動連絡・キャンセルの導線を用意すること
- まず件数を数える。数えていないと、対策が効いたか分かりません
キャンセル導線と来院履歴を、最初から持っている予約システムもあります
「カヨクル」の予約システムは、予約確認メールからのキャンセル、顧客ごとの来院履歴、しばらく来院のない方の一覧を、月額プランの標準機能として備えています。プランを上げていく形ではありません。
体験用のデモで管理画面までご覧いただけます。架空の院の設定で動作するので、実際の予約は発生しません。
STORES 予約(https://stores.fun/reserve/pricing)/ Airリザーブ(https://airregi.jp/reserve/cost/)/ Square 予約の料金(https://squareup.com/jp/ja/appointments/pricing)/ 無連絡キャンセル防止対策のヘルプ(https://squareup.com/help/jp/ja/article/5493-no-show-protection-with-square-appointments)/ LINE公式アカウントの料金(https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/plan/)。
消費者契約法の条文はe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061)を参照しています。 本記事は条文の内容を紹介したもので、法的なアドバイスではありません。キャンセル料の設定・請求にあたっては専門家にご確認ください。 プラン内容・金額は改定されることがあります。お申し込みの前に各社の公式ページで最新の情報をご確認ください。